日本消化器内視鏡学会雑誌
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肝硬変における胃・十二指腸粘膜病変の検討
―特に肝予備能との対比において―
中山 雅樹菊地 英亮松村 雅彦久保 良一西村 公男植村 正人福居 健一山尾 純一塚本 昇松本 昌美松村 吉庸北神 敬司松本 真栗山 茂樹高谷 章森田 倫史辻井 正
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1989 年 31 巻 2 号 p. 357-363

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抄録
肝硬変における胃・十二指腸粘膜病変の出現と肝の病態がいかなる関係にあるかについて,特に肝予備能検査面から検討を行った. 肝硬変における胃・十二指腸病変の出現頻度は高率で,胃粘膜発赤およびびらんが46.3%,胃潰瘍が20.0%,十二指腸潰瘍が4.8%であった.病変の占拠部位については,胃粘膜発赤およびびらんは胃体部に多く,胃潰瘍は胃角部および胃体部に多く認めた.なお,160例中13例,8.1%で胃・十二指腸粘膜病変が消化管出血の出血源となった. 肝予備能面からの検討では,胃・十二指腸病変を有する有病変群は無病度群に比べてコリンエステラーゼ,血清アルブミン値,プロトロビン時間,ヘパプラスチンテスト,ICGRmax,内因性胆汁酸負荷試験2時間値において異常度が強く,両群間に有意の差を認めた.また,ICG15分停滞率およびグルカゴン負荷試験においても同様の傾向を認め,肝予備能の低下している症例では胃・十二指腸病変の出現に常に留意,対処する必要性が示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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