抄録
切除された表層拡大型胃悪性リンパ腫14例とびまん型胃RLH12例を対象として,内視鏡所見およびX線所見の特徴像を比較検討した.内視鏡像における顆粒状所見,びらん所見,乳白色調所見は表層拡大型胃悪性リンパ腫ではそれぞれ14/14(100%),13/14(93%),11/14(79%)で,胃RLHでは12/12(100%),10/12(83%),8/12(67%)であり,両疾患の内視鏡像の頻度は類似していた.X線像における病変部の顆粒所見は,表層拡大型胃悪性リンパ腫は14例中12例(86%)が不揃いであったが,胃RLHでは12例中8例(67%)で粒が揃っていた.X線像から顆粒の最大径を比較すると,表層拡大型胃悪性リンパ腫は4mm~8mmの大きさが3/14(21%),8mm以上が11/14(79%)であったが,胃RLHでは4mm~8mmの大きさが12/12(100%)で,表層拡大型胃悪性リンパ腫病変部の顆粒所見は胃RLHに較べて粒が大きく.不揃いであった.病理組織所見では,表層拡大型胃悪性リンパ腫の病変部では14例中14例(100%)において浸潤腫瘍細胞数の程度が高度であったが,胃RLHでは12例中11例(92%)において浸潤リンパ細胞数の程度が中等度であった.表層拡大型胃悪性リンパ腫の早期診断には顆粒所見が大きく不揃いであることが重要と考えられた.