抄録
大腸平滑筋腫はまれな疾患であるが,注腸検査および大腸内視鏡検査の普及により無症状で発見される症例が増加している.われわれは最近,内視鏡的ポリペクトミーしえた有茎性大腸平滑筋腫を経験したので報告する.症例は65歳の男性,検診目的で施行した胃透視および胃内視鏡検査で胃角部に早期胃癌が発見され,手術目的で入院.手術前に施行した注腸X線検査で下行結腸に約20mmの有茎性のポリープ様病変を認めた.後日行った大腸内視鏡検査では,表面平滑,発赤調の隆起性有茎性の病変を同部位に認め,内視鏡的ポリペクトミーを施行.その組織所見から腫瘍は,粘膜筋板由来の平滑筋腫と診断した.有茎性発育を来した大腸平滑筋腫の本邦報告例はまれであり内視鏡的ポリペクトミーは,本症に対して診断および治療法とし有用であると考えた.