抄録
症例は,48歳,女性.昭和61年10月5日より上腹部不快感があり近医受診.上部消化管X線検査にて,下部食道にポリープを指摘され,当院紹介となる.上部消化管内視鏡検査にて,下部食道,食道胃接合部付近に白色調で表面平滑,一部びらんを伴った16×16mmの有茎性ポリープを認め,ポリペクトミーを施行した.組織学的には,細血管と線維芽細胞の増殖がみられ,好酸球を含む炎症細胞浸潤が著明で,Inflammatory fibroidpolypと診断した. 食道に発生したInflammatory fibroidpolypの報告は極めて少なく,われわれが検索した範囲ではわずかに11例で,本邦では未だ検索し得ず,興味ある1例と考えられたので文献的考察を加え報告した.