日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸リンパ管腫の1例
重松 忠福井 和彦奥村 秦明藤:田 真司末永 昌宏立松 恵子春日井 達造西川 和久加藤 肇服部 和彦
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1989 年 31 巻 1 号 p. 148-156_1

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抄録
 大腸の非上皮性腫瘍の中でも,リンパ管腫は極めて稀な疾患である.術前の正確な診断は困難であることが多い.しかしながら,嚢腫であるため,圧迫により容易に変形することから,他の粘膜下腫瘍との鑑別は可能であると思われる.今回われわれは大腸内視鏡検査にて嚢腫と診断した大腸リンパ管腫について報告する.症例は39歳の男性で,下痢,下腹部痛にて来院.注腸X線検査にて下行結腸の粘膜下腫瘍と診断し,大腸内視鏡検査では,圧迫による容易な変形より嚢腫と診断した.内科的加療により軽快しないため,嚢腫を含む下行結腸の部分切除術を施行.術後は症状は消失している.嚢腫は1.7×2.5×2.0cmの大きさで,隔壁を有する数個の嚢胞より成り,漿液性の内容を含み,内壁には一層の扁平な内皮細胞を認め,リンパ管腫と診断した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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