日本消化器内視鏡学会雑誌
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高ガストリン血症とType A gastritisを伴った多発微小胃カルチノイドの1例
田沢 潤一西村 正信酒井 義法酒井 英樹平沼 進岡本 浩平大宮司 有一蓮村 靖青木 望滝沢 登一郎
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1989 年 31 巻 1 号 p. 104-109_1

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抄録
 症例は48歳,男.健康診断の際の上部消化管造影検査で胃隆起性病変を指摘され,当科を受診した.内視鏡検査では,胃角対側大彎に径約1cmの粘膜下腫瘍を認めた.腫瘍の軽度びらん面より生検し,カルチノイドの病理所見を得た.同時に,著明な高ガストリン血症(1,500pg/ml)を認めたが,尿中5-HIAAや血清セロトニンは正常値であった.胃亜全摘術を行ったところ,切除胃には肉眼的に隆起性病変は認められず,組織学的には,胃底腺の不規則な萎縮(Strickland & MackayのType A gastritis)とともに,胃底腺の深層および粘膜筋板中に多数の微小なカルチノイド巣を認めた.なお,術後血清ガストリン値は正常化した.Type A gastritis,高ガストリン血症とカルチノイド多発という3者の関連を考えるうえで,示唆に富む症例と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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