日本消化器内視鏡学会雑誌
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膵管像の異常を合併し,著明に進展したPBCの1例
長谷部 千登美関谷 千尋水野 正巳石川 裕司幸田 弘信小野 稔矢崎 康幸並木 正義
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1988 年 30 巻 8 号 p. 1822-1827_1

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抄録
 症例は59歳女性.昭和55年にPBC(ScheuerII~III期)と診断されたが,〓痒感等の自覚症状はほとんどなく,経過観察されていた.昭和61年に糖尿病のコントロールを目的として再入院した際,腹腔鏡および肝生検所見ではScheuer IV期と著明に進展しており,またERCPで膵尾部膵管の硬化・壁不整などの変化が認められた.この膵管像の異常は,初回検査時には全く認められず,PBCによる肝病変の進展に伴って出現してきたものであった.他に膵炎を起こす要因は特にないことも合わせて考えると,膵管をTargetにしたPBC類似の病巣が出現している可能性が考えられた.また本例では,当初,PBCに特徴的といわれる粗大で規則正しい区域化を呈していたが,これらの区域化をきりくずすようにさらに細かい区域化が起こり,結節形成に至っていた.この間,肝機能検査値はほぼ安定しており,黄疸は全くなく,〓痒感も初診時より軽減していたにもかかわらずこのように著明に進展していたという点で,非常に興味深い症例である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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