日本消化器内視鏡学会雑誌
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早期胃癌と他臓器癌重複例の検討
田上 哲也橋本 不動志高橋 好朗渥美 清村上 隼夫伊藤 忠弘
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1988 年 30 巻 6 号 p. 1213-1217_1

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抄録
1970年から1987年4月末までに当院で経験した早期胃癌186例のうち,Warren & Gatesらによるcriteriaを満たす他臓器癌重複例は12例(6.45%)であった.平均年齢は69.9歳で,早期胃癌例61.6歳に比べ有意に高齢であった.胃癌病変自体の特徴に両者で明らかな差はなかった.男女比は5:1で,同時性発生が8例,1年以上の異時性発生が4例であった.重複癌種は食道癌が4例と最も多く,消化器癌が53.3%を占めた.予後は重複癌に左右され,5生率は16.7%で,平均生存期間は22.7カ月であった.早期胃癌の重複癌例は多いものではないが,重複すれば予後は非常に悪いものとなる.従って,早期胃癌発見時ないしそれ以後は,他臓器特に消化管の検索が必要であり,高齢者においては更に強調されると考える.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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