抄録
全大腸内視鏡検査を至適基準として,グアヤック法便潜血反応の大腸癌スクリーニングにおける精度を検討した.当院一泊人間ドック受診者延べ3,704例を対象としたが,大腸癌に関し作為のない集団であることならびに便潜血反応陰性例に対しても全例回盲部まで検査を施行していることから,精度を議論する上で適当な対象であると考えられた.大腸癌は17例(0.46%)発見されたが,便潜血反応陽性率は47.1%と半数以下であり,非癌症例群との間に有意差を認めなかった.腺腫は283例(7.6%)発見され,便潜血反応陽性率は39.6%とこれも低率であった.グアヤック法便潜血反応は,少なくとも一日法では大腸癌スクリーニング法としては不適当であると考えられた.