日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的食道静脈瘤硬化療法における基礎的,臨床的検討
西村 滋生
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1988 年 30 巻 12 号 p. 3013-3021

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抄録
内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)における基礎的検討として,家兎の耳静脈に食道静脈瘤硬化剤を注入し,組織学的変化について比較検討した.硬化剤は血栓形成能の強い順に40U/kg thrombin>5% ethanolamine oleate>2% sodium tetradecyl sulfate≧absolute ethanol>1% Aethoxysklerol>50% glucoseであった. 次にEOを用いたEISについて臨床的検討を行った.完全に静脈瘤内注入となった155例のうちで,bronze varicesからbronze spotに変化し,静脈瘤の消失に至るという典型例を150例(96.8%)に認めた.この経過以外に,bronze varicesからの壊死・脱落例を4例(2.6%),bronze varicesからの再発例を1例(0.6%)に認めた. EIS後の静脈瘤の経時的変化を把握することは,治療効果の判定のみならず,予後を知る上においても重要であると考えられた.
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