日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
食道静脈瘤硬化療法における手技上の工夫
―蛍光造影剤を用いた静脈瘤内注入法の試み―
岡野 均児玉 正辻 秀治高升 正彦古谷 慎一光藤 章二西田 博佐藤 達之福田 新一郎布施 好信瀧野 辰郎
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 30 巻 1 号 p. 71-74_1

詳細
抄録
食道静脈瘤硬化療法(以下EIS)において,硬化剤の静脈瘤内注入を確認する方法としてX線透視下にEISを施行する方法がある.しかしこの操作は繁雑でより簡便な方法が望まれる.そこでわれわれは蛍光造影剤フルオレスチンを使用し非透視下に硬化剤の静脈瘤内注入を確認する方法を試みた.対象は待期・予防的にEISを行った食道静脈瘤患者20例である.EISは従来よりわれわれが行っている.50%グルコース液,エトキシスクレロールおよびヒトトロンビンを静脈瘤内に注入した.今回の方法にあたって,50%グルコース液にフルオレスチンを添加した.EIS時,刺入した静脈瘤が黄緑色に変色した.噴門部静脈瘤の変色を認める例もあった.変色が刺入局所の膨隆となった場合は静脈瘤外注入と判断し硬化剤の注入を少量にとどめたため,EIS後潰瘍を認めることが少なくなった.また刺入部以外の静脈瘤が変色し硬化剤の流入が確認された例では変色のない静脈瘤を順次穿刺することにより効率よくEISを行うことが出来た.フルオレスチイン添加による合併症は今のところ経験していない.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top