抄録
われわれは食道静脈瘤症例に対し,1977年10月から,1985年3月までに,内視鏡的栓塞療法による内視鏡的硬化療法を336例に施行した.施行336例について,主要合併症発生例は,12例(3.6%)で,その内容は,食道狭窄3例,食道胃接合部びらん出血2例,腎機能障害2例,血性胸水1例,食道びらん出血1例,血圧低下1例,食道静脈瘤出血1例,食道穿孔1例であった.そして,これらの合併症の原因のほとんどは,技術的要因によると思われた.しかし,主要合併症発生例は,いずれも保存的治療法により治癒退院しているので,本治療法では手技を正しく施行し,また合併症に対する対応を適確に行えば,合併症による死亡例を,極めて低くおさえることができると思われた.