抄録
十二指腸乳頭部癌6例を対象として、超音波内視鏡による浸潤範囲判定の有用性と問題点について検討した. 対象全例において,超音波内視鏡の十二指腸下行脚までの挿入が可能であり、腫瘍の明瞭な断層像が得られた.腫瘍の大きさ,総胆管・膵管浸潤の有無とその程度,十二指腸浸潤の有無の判定が可能であり,その所見は切除標本の病理所見とよく一致した.膵浸潤に関しては、膵と膵周囲脂肪織が明瞭に識別されず、明らかな膵浸潤像を認めた2例以外の症例では判定困難であった. 超音波内視鏡は,十二指腸乳頭部癌浸潤範囲判定の新しい有力な検査法と考えられた.