日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
Silver Spike Point和痛法による大腸内視鏡除痛法の検討
横田 広夫金沢 寛人見 憲一山崎 忠光近藤 高志藤井 佑二長浜 徴林田 康男城所 仂津田 靖彦
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 28 巻 10 号 p. 2306-2313

詳細
抄録
 大腸内視鏡は各過程において,被検者に多大な苦痛を余儀なくさせることが多い検査法である.そこで私共は,大腸内視鏡検査を円滑かつ安全に行うために術前処置および術中の和痛法として,新しく低周波ツボ療法(S.S.P,療法と略す)を導入し,従来の方法を対照として比較検討を行った. 方法および結果:S.S.P.療法群では,検査の15分前より開始し,周波数30Hz,平均20mAで持続通電し,検査終了と同時に終了した.従来の前処置法を行った群を対照群とし,以下の結論を得た. 1) S.S.P.処置群では,自覚的苦痛率は30%,対照群では70%であり,かつ,他覚的な苦痛指数もS.S.P,処置群では有意の低値を示した. 2) Vital signsとくにshock indexの推移からみてもS.S.P.処置群では,術前・中・後を通じて一定の安定した状態を示した.全身状態に及ぼす影響が軽微であった. 以上,S.S.P.療法はパリ麻酔を簡易化したものであるが,使用法が簡単,合併症が皆無などの特徴を有している.さらに本法では,細い神経線維(slow pain)しかブロックされず,もし術中に穿孔などの偶発症が併発しても,その痛み(sharp pain)は早期に発現し,危険を防止できた.このように,特に大腸内視鏡では,選択的神経ブロックの概念の導入が特に重要であることを強調した.一方,欠点として,誘導時間が長く短時間に多くの患者を検査することは困難であった.今後,誘導時間を短かくする工夫が望まれた. 結語:S.S.P.和痛法は,検査中の被検者との意思疎痛は十分に保たれ,和痛効果も高く,かつ安全であることから,極めて有用な方法であることを述べた.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top