日本消化器内視鏡学会雑誌
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小腸内視鏡生検について診断しえた空腸癌の一例
渋谷 隆丹羽 正之斉藤 征史加藤 俊幸小越 和栄
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1982 年 24 巻 9 号 p. 1433-1438_1

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抄録
術前に小腸内視鏡直視下生検にて診断した原発性空腸癌の1例を呈示し,主として診断について報告する. 症例は66歳男性.1980年8月より食欲不振が出現.1981年7月28日,体重減少も加わり初診.臍部に腫瘤を触知して入院した.胸部X線検査・胃内視鏡検査・ERCPなどは,いずれも正常.注腸検査で横行結腸に圧排所見を認め,腹部CT及びエコー検査で小腸をまきこんだ腫瘤を認めた.上腸間膜動脈造影で空腸動脈と回腸動脈の不整形狭窄と閉塞,及び腫瘍血管の増生,腫瘍濃染像を認めた.選択的小腸造影で十二指腸空腸曲より20cm肛門側に周堤を伴った潰瘍病変を認め,小腸内視鏡検査でもBorrmann III型様の病変を認め,生検にて腺癌の所見を得た.以上より原発性空腸癌の診断で1981年8月26日,腫瘤を含めた小腸広範切除術を施行した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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