日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的逆行性胆管ドレナージによる非手術的胆道内瘻術の1例
池澤 健男山田 英次中島 正継赤坂 裕三川井 啓市
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1982 年 24 巻 7 号 p. 1125-1130_1

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抄録
 腰背部の拍動性疼痛を主訴とした53歳男性スクリーニング検査にて,CEA高値のため腹部エコー,内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を行い膵頭部癌と診断した.根治手術の可否を見るべく腹腔動脈造影,上腸間膜動脈造影を施行したが,腫瘍は総肝動脈,固有肝動脈,膵頭部アーケード,上腸間膜静脈,門脈のすべて浸潤しており切除不能と診断された.また入院時血清総ビリルビン値は0.5mg/dlであったが,約4週間で19.3mg/dlと高値を示すようになり閉塞性黄疸を呈した.このため内視鏡的乳頭切開術(EST)を施行後,内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(Endoscopic retrograde biliary drainage,ERBD)を行った.ERBD施行後2週間で,血清総ビリルビン値は3.0mg/dlと軽減し,現在外来通院にて経過観察している.本稿では症例の呈示とERBDについての若干の考察を試みた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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