日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸若年性ポリープ―内視鏡的ポリペクトミー15個における検討
山田 直行早川 和雄福地 創太郎池永 達雄西蔭 三郎武藤 徹一郎
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1982 年 24 巻 5 号 p. 773-781

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抄録
大腸若年性ポリープは,本邦では稀とされており,特に成人例の報告は極めて少ない。過去8年間に当院において内視鏡的ポリペクトミーを施行した大腸ポリープ369個中15個(14症例)の若年性ポリープが認められた。14症例中13例は20~50歳代の成人で,男性に多かった。発生部位は直腸とs状結腸に多く(73%),67%は有茎性で,最大径1cm以上のものはすべて有茎性であった。内視鏡的に特徴的な所見は,表面の凹凸が目立たず,強い発赤を示し,びらんや出血を伴うものが多かった。また,拡大撮影によりポリープ表面の微細構造について腺腫と比較検討した結果,腺腫は,管状,溝状あるいは脳回転状の構造を有するのに対し,若年性ポリープでは,腺口構造がほとんど崩壊しており,組織学的に上皮層が肉芽組織に置換されているという事実に合致していた.更に注目すべき組織所見として9個(60%)においてポリープの一部にmetaplastic tubulesが混在し,2個(13%)にadenomatous fuciが認められた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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