日本消化器内視鏡学会雑誌
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隆起型胃癌の深達度診断の内視鏡的検討
市川 恒次鵜川 四郎竹添 和英青野 義一黒坂 判造大原 毅近藤 芳夫嶋田 鼎
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1979 年 21 巻 8 号 p. 956-962

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抄録
胃癌の深達度診断は予後に直接つながる重要な課題である.今回,われわれは隆起型胃癌を対象として,主として内視鏡的深達度の診断の面から検討を加えたので報告する.われわれの胃癌切除例は過去約13年間に690例であり,そのうち進行癌510例で,早期胃癌は180例である.今回検討の対象としたものはそのうち隆起型胃癌67例であり,そのうち14例はボールマンI型(以下Borr.I型)で,53例は早期癌である.隆起型胃癌は平均約60歳の高齢者にみられ,男性にやや多い.組織型は早期胃癌では高分化型腺癌が多く,Borr.I型では高分化型腺癌の他,未分化型腺癌等もみられた.各隆起型胃癌の大きさを底面積よりみると,1型及び豆a型のmはそれぞれ平均7.7,6.2cm2であり,smでは28.8および33.7cm2であった,Borr.I型では42.3cm2であり,病巣の大きさが深達度とかなり相関があることをうかがわせた.これらを円形と仮定した場合.I型とIIa型のmでは3cm,smでは6cm,Borr.I型では7cmとなる.内視鏡所見ではsmはmに比して不整形なもの,表面凹凸のつよいもの,陥凹性変化のみられるもの.白苔の付着をみるものが多い.Borr.I型ではこれらが一層顕著な傾向を示す.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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