抄録
症例は59歳男性.脱力感,腹痛のため当院に入院した.38年前に虫垂切除,腸閉塞手術の既往がある.貧血のため大腸内視鏡検査が行われ,横行結腸に多発潰瘍と長軸方向に並ぶ瘻孔を2カ所みとめた.注腸造影では横行結腸の内腔拡張と瘻孔開口部から拡張した回腸と収縮する回腸が造影された.回腸横行結腸吻合による盲係蹄症候群の診断にて開腹手術を行った.側々吻合部を切除し,短絡の解除を行った.回腸横行結腸吻合部の回腸近位側および遠位側は輪状狭窄し,組織学的に吻合部回腸には粘膜のびらんと急性腹膜炎をみとめた.小腸結腸短絡による盲係蹄症候群は短絡解除の手術適応となるため回腸狭窄など内視鏡診断が重要である.