抄録
2018 年の世帯土地統計(国土交通省)によれば,世帯の保有する原野等を含む空地の面積は 2008 年に 632km2 であったものが,2018 年には空き地が 589km2 ,原野等が775km2 となり,合計 1364km2 とほぼ倍増している。空地はその発生メカニズムにより,構造的空地、摩擦的空地,留保的空地に分類することができる。このうち,摩擦的空地,留保的空地の発生理由は合理的な判断が背後に存在するため,少なくともその開発・利用を無理に促す政策は支持されない。しかし,地域の生産性が低下している状況下では,これらの空地に適切な管理が施されない場合発生する外部不経済を原因として,地域全体が衰退する可能性がある。これを回避する政策が慎重に設計される必要がある。